境征参加 | ナノ




「? 何してんだ。行くぞ」


政宗はこちらを振り返ると怪訝そうな顔をしながら、手でこまねいた。

佐助は勿論のこと、名前はいきなりのことに呆然となる。


「……へ?」

「Wow、とんだ間抜け面だな」

(こ、この……!)


鼻で笑う政宗に、彼女の米神が引き攣る。


「……いきなり何ですか」

「What? 目的地が同じなら、連れてってやるっつってんだよ」

「え」

「旅は道連れ世は情けっていうだろ?」

「政宗様……」


得意げにしている彼の傍らで小十郎が大きく溜息をついた。


「あちらはあちらで城に向かうでしょうから、無理を仰らないで下さい」


その途端、名前の中での小十郎の株が少し上がった。


(その意気だ頑張れ、片倉さん!)


しかし、物凄くイイ笑顔をした成実が政宗側に付いてしまった。


「いいねぇ、それ! 籠はないけど馬なら予備があるしぃ」

「成実、てめぇは黙ってろ」


小十郎の腹に響くような恫喝にも成実は怯まない。


「えぇ? いいじゃん別にさぁ。な、梵?」

「テメェのその呼び名は気に食わねぇが……、niceだ成実」

「ああ、もう……」


小十郎は眉を顰めてこめかみに手を当てた。偏頭痛もちなのだろうか。

佐助が同情しているような表情で彼を見ていた。何か感じるものがあったらしい。


(片倉さんも、苦労性って感じするし)


佐助は幸村。小十郎は政宗。

お互い、主には苦労していそうである。


「だから、そこの二人」


政宗はびしっと人差し指を佐助と名前に突きつけた。
傍らで小十郎が「ああ人様に指など向けて……!」と嘆いているが、政宗はまるで気にしない。


「大人しく一緒に来やがれ」

「ご、強引……」

「強引? ハン、親切っていうんだよ」

(親切の押し売り……)


まるで逮捕される犯人のような感じがして名前は物凄く嫌だったのだが、あろうことか傍らの佐助がにっこりとあの例の胡散臭い笑顔を浮かべた。


「じゃあ、お願いしちゃおっかなー」

「佐助ぇぇぇ! ちょ、どうしたの頭打ったの」

「なんでそんなこというの。ただ、そろそろさすがの俺様も疲れちゃって」

「うっ」


その一言に彼女は言葉を詰まらせた。
それをちらりと見た佐助は密かに笑って、わざとらしくはぁ、と溜息をつきながら佐助は肩をさする。


「あー肩凝ったなー」

「うっ……」

「腕もだるいし」

「うっ……!」

「それもこれも名前ちゃんが色々蓄えてボヘェ」


言い終わらないうちに、佐助の頬に拳が入った。



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