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side 棗
取り敢えずトリッパーになった私は、高級マンションの最上階にトリップしていた。
電気はシャンデリア、床や壁は大理石、テーブルは強化ガラス、カーテンは純白のシルク、テレビはミニ映画サイズ、カーペットは羽毛と来た。
よく分からないがレコーディングルーム、トレーニングルーム等、普通ではあり得ない物が沢山あった。
金持ちってスゲェ。
もてあましすぎ。
早速、探索に行く。
レコーディングルームに入ると、これは凄い。
サックス、アルトサックス、バリトンサックス、テナーサックス、バスクラリネット、クラリネット、フルート、ユーフォニウム、オーボエ、トランペット、ホルン、ヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバス、ギター、エレキギター、パーカッション、ドラム、チェロ等々。
良く言えたな私。
沢山置いてある事は分かった。
しかも大理石の棚には弦やらリードが沢山あった。
気持ち悪い。此処は音楽室か。
まぁ、こう言う空間は好きだが。
風呂やトイレもキラキラ輝いている様に見えた。
一面は銀・銀・銀!!
目がテカテカし過ぎて入りたくない。
あの自称神、嫌がらせか?
取り敢えず羽毛で出来たソファーに座って、一段落。
入学届けは出してあるらしいから、制服をもらうだけだ。
暇だし、レコーディングルームで遊んでるか。
少し、遊び心が出来た。
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久しぶりに弾くと良い音が出ない。
うたの☆プリンスさまっ♪の四ノ宮那月のTop Star Revolutionを弾いている。
知らない人はggrks。
間奏を弾いているが、特徴が有りすぎて上手く弾けない。
レベルが落ちた者だ。
弾き終わると、後ろからパチパチと言う拍手が聞こえた。
「そう言えばヴァイオリンを弾くのが好きだったなぁ、棗は」
『…貴様は私の父親か。不法侵入だ、警察呼ぶぞ』
「やだなぁ物騒じゃないか。制服届けに来てやったのに」
自称神が私服(?)でやってきた。
なんかちょっとカッコいいのに頭の上の丸いやつが邪魔だ。残念。
「じゃ、俺は女の子に逆ナンされたから行ってくるわ♪」
『そのまま土に還ってろクズが』
前言撤回。クソウゼェ。
あのバ神が居なくなった処で、着替える。
…あれ、なんでバ神が私のサイズ知っているんだ。
気付くと時間は7時半。
…勿論、朝の。
時間軸可笑しくね?
現実世界で放課後だったんだよ?
超次元過ぎね?此処。
さておき、着替えたし雷門中学校に行こうか。
『……寒ッ。セーターくらいは着て良いよね…』
可笑しいよ。現実世界は秋だったもん。
まぁ、どうでも良いや。
―――結城沙苗とは、どういう奴か見てみたいなぁ。
私は、ヴァイオリンをケースにしまい、手に取った。
『…学校の屋上で、弾こうかな』
素朴な言葉を呟き、家を出た。