ドラクールは胸を押さえて呼吸を整えると、ゆっくりと体を起こした。

「なあ。それなら、こういうのはどうだ?」

その言葉に、リュユージュは訝しそうに首を傾げる。

「俺はお前の言う事を聞く。だからお前も一つ、俺の言う事を聞け。」

「君、馬鹿なの?どうして僕が諾否を求められなくちゃならないんだ。」

「馬鹿はお前だよ。」

ドラクールは脂下がった表情で八重歯を見せて笑むと、強い口調で言った。

「いいか、こいつらに手を出してみろ。そしたら俺は死んでも帰らない。死んでも、な。」

「君、僕と同等のつもり?」

リュユージュは左手に隠し持っていた懐剣を投擲した。

それは腰を抜かして壁にもたれ掛かっているリサの右腕を掠め、ぱっくりと切り裂かれた其処からは鮮血が滴り落ちた。

「止せ!!お前の目的は、俺を連れ帰る事だろ!?」

「君と僕の、決定的な差を教えてあげようか。」

リュユージュはゆらりとドラクールに一歩近付く。









「僕は、命を賭していない。」

ドラクールはリュユージュのその言葉を、一笑に付する。

「下らねェ事を言うガキだな。いいからお前、さっさとこっちの条件を呑めよ。」

「言ったでしょう、君と僕は対等じゃない。僕が君に従う必要などないよ。」

そう言うとリュユージュは剣を握る右手に力を込め、リサの方に向き直った。

-263-

[] | []

しおりを挟む


目次 表紙

W.A


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -