「ともだち、か」



霧野は呟いた。
彼には長年の想い人がいる。
それは今となっては、親友として、そして想い人として、いなくてはならない存在へと、昇格していた。


ある冬の日。
小学校の頃から一緒で、家も近いからと、共に登校していた、ともだち。
普段は銀一色の世界でさえも、青く澄み渡って見えるほど目の前の、神童も微笑っていた。
そしてそれを祝福でもするかのように、あたたかな微笑をくれる太陽。
曇っていたのは、ただ一片だけだった。



『ずっと、友達でいような』



神童はそれはそれは霧野のことを思って言ってくれたのかもしれない。しかしその言葉は霧野の小さな胸に、重くのしかかった。初恋、だったのだ。


あの時から既に季節は巡った。
桜も散ったし、向日葵も涸れた、そして紅葉は腐敗した。
すべてを覆うようなどんより灰色の世界に戻ってきてしまった。

あれからも、ずっとふたりで登校し続けた。
麗らかな日差しに見守られ、刺激的な日光浴をし、穏やかな日向ぼっこを経ても、彼らの関係は変わらなかった。……いや、ひとつだけ変わったものがある。神童の立場だ。
サッカー部でファーストチームへと配属されたふたりだが、三年が引退すると同時に、当時の二年であり、現在守護神を務める三国を筆頭に四人が、神童へ頼みに来たのだ。サッカー部のキャプテンになってほしい、と。


「寒いな」
「ああ。明日は晴れるみたいだけど」

今日も今日とて手を取り合う。
さて、それは何故なのですか?


きっと、オレみたいな気持ちではないんだろうけど



20110530
参考:JustBeFriends
”トモダチ”

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