「……んっ」


ちゅ。
かわいらしく湿る音に目の前の白磁は桃に染まった。
綺麗な瞳が潤んで、揺れる。紅茶色の虹彩に秘められた瞳孔に映し出されたオレと、オレの中の神童。
更にその中のオレにはオレと神童、と延々と続いている。


「……やだっ」


顔を背けて目を隠すと、掴まれた両腕を振り払おうとした。
けれど、か細い腕を逃がすわけにもいかず、腰に腕を回した。


「俺は好きだよ、神童とこうしてるの。今日はあったかいしね」
「どこがあったかい、だ。嫌になるほど暑いぞ」
「まあまあ」


垂れる汗を拭う神童もすごく色っぽい。
けど、暑いし。しばらくは。


やわらかい唇と舌を、思う存分に食む。
ぎゅっと目を閉じていやいやと首から捩れる神童の後頭部を押さえてまで、奥まで。
けど知ってるんだ。オレ、神童のこと、ずっと見てきたし。
しばらくすれば、綻び始めることを。


「ん、はぁ……霧野、」


ぎゅうとやわらかくオレの髪を引っ張る。
ジャージでもなくて、髪を引っ張るあたりが愛おしい。
だからずっと、髪を切れずにいるわけなんだけど。


唇を解放すると肩で息をする神童に、おまけ、ともう一度だけ重ねて、離れた。
ああ、やっぱり可愛いよな。一緒にいるとオレの方が女の子みたいだって言われるけど、それとは違うんだよ。
なんていうのかな、まあ、愛っていうフィルターもかかってるけどさ。
本当、一生離れられないよ。離す気はないけど。


「すき、」


あ、やばい。
むっちゃくちゃに掻き抱いても足りないくらい、うれしい。


「オレは愛してるよ、拓人」


そろりと手をのばされて、首まで送り届けてやると、ぐっと顔を近付けた。
やばいヤバイやばい。


「蘭丸、もっとキス」


してくれないか?



20110529
初蘭拓。てかゴー。駄目だ難しい
音を立てて

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