「あっ……エンドウ、ちゃんと上着を着ないと風邪を引くぞ」



こうやってちょっとした新婚のようなやりとりができるのは、サッカーがあったからだ。




フットボールフロンティアインターナショナル、通称FFIの第一回が催されたのは、オレが14の時だ。
オレは勿論アメリカ代表として予選大会を勝ち抜き、本選に上がった。
その時に日本へ渡っていたカズヤはドモンという心強いDFを連れて帰ってきた。

日本でふたりが通っていたというライモンというJr.ハイスクール。そこのクラブのキャプテンを務めていたという、エンドウ・マモル。
彼が日本代表としてライオコット・アイランドにやってくると知り、オレは待ち遠しくなった。




会ってみてわかった。
エンドウには、魅力がある。顔がどうとかそういうことじゃない。

惹かれてしまう、何かが秘められている。


カズヤのいうとおりだった。





「マーク、早く行こうぜっ、ほら早く!」
「待てエンドウ、だからちゃんと上着を……」
「いーじゃないか。こーやって、マークがあっためてくれるんだろ?」


よくも悪くも太陽のような笑顔を向けられる。



いつもこの笑顔に暖められているのはオレの方だ。





20110109



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