降雪も落ち着き、年賀状の届かなくなった頃。
事件は、起こったのである。



「ええ、また河童を見たあ!?」
「そーなんだよ。こんな口してさー」
「またまた……寝ぼけてたんだろ?」


あの時―円堂が初めて河童を見たと言った、アメリカ戦前―の様に、マグカップを逆さまに頭に乗せ、横髪を弄り、口元を引っ張った円堂に、風丸は冷静に返した。



「だあって、ヒロトもこの前言ってたじゃないか! 河童はいるんだって、絶対!」
「そうは言ってもなあ、河童は空想上の生き物なんだからな?」
「だーけーどー! なあ、ヒロト、いるんだよな、河童は?」
「うーん、多分ね」


問われたヒロトは苦笑しながら言葉を濁した。


「しかし円堂、何故また今頃に?」


存在の有無を兎も角として、何故今更ながらに河童を見たのかと鬼道は問うた。

「いやー、なんでかはわかんないんだけどさ。あ、そういえばヒロトのサインがしてある色紙持ってたなあ」
「! ヒロトさん、それって……」
「……うん、多分ね」



ヒロトは心当たりがあるのか、木暮とアイコンタクトをとった。



「実はあの日。僕達も河童に会ったんだよ」
「それもふたりいてさー、サッカーに誘われたんだ」
「ヒロトがいうんならわからなくはないけど……飛鷹はどう思う?」



唯一常識人であり、頭脳が明晰すぎない飛鷹に風丸は話を振った。
鬼道は常識はあるが頭脳が超越しており、染岡は感情的すぎると判断したためだ。



「別に……キャプテンがいるっていうんならいるだろ」
「と、飛鷹! ありがとう! お前なら信じてくれると信じてたよ」



円堂は涙ぐみ、周囲は呆れかえった。
勿論、このふたりのバカップルぶりに。





20110107
初めて飛鷹を喋らせた。つか名前が打ちにくい。



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