「……本当に大丈夫か、ビヨン」
「ああ、だいぶ楽になった」





ここは砂漠の土地、カタール。
いまはサッカー世界一を決める大会、フットボールフロンティアインターナショナルの予選大会が行われている。

このカタールからは「デザートライオン」なるチームが代表として出場している。キャプテンマークを連れるのは背に3番を負った褐色肌の男、ビヨン・カイルである。……のだが、そのキャプテンであるビヨンはいま、倒れている。このカタールという暑い地域に生まれ育ったビヨンは熱中症などにはならないのだが、ちょうど先にあった雨で身体を冷やしてしまい、風邪をひいていたのである。風邪をひき熱を出した状態でこの灼熱のフィールドを駆けまわればそれは危険な行為である。やはり、ビヨンは倒れたのだ。


「なんで風邪ひいてたのに練習に参加したんだ?」
「なんでって……キャプテンだから、休むわけにはいかないだろう」



その倒れたビヨンを介抱するのは青いバンダナをした少年。背中には10番を背負う、ザック・アブドゥラだ。彼はビヨンとは他よりもすこし付き合いが長いため、介抱の役を自分から買って出たのだ。


「阿呆、キャプテンが試合前に倒れてちゃ意味ないだろう」


左目を覆い隠す前髪を耳にかける。目元のアイメイクが落ちているような気がした。



「これからはもう、無理するなよ」
「……善処する」



翌々日にFFI予選の2回戦を控えるデザートライオン。エースストライカーであるザックも練習をしないわけにはいかないので、普段は隠された左瞼に口付けてビヨンの隣を立った。




2010.10.03

やっぱザクビヨの日だろと思って書いた。
ザックの方がすこし小さいのが萌える要素だと私は思う。
砂漠の中心で愛を叫ぶ

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