イナズマジャパンのアジア予選決勝。

我が国オーストラリア代表ビッグウェイブスはそのイナズマジャパンに初戦であたり、負けた。
なので、今日は自分達と並び、優勝候補と称される韓国代表、ファイアードラゴンが日本のフロンティアスタジアムで決勝を行うので、いわゆる試合観戦をしに来たのだ。


しかし自分はプレイボーイという種族らしく、子猫ちゃん達が寄ってくると、断れないのだ。
どうしたんだ、いったい。

いつも、どこからともなくでてきて、オレの尻を追い掛けまわしているような、それこそデザートライオンそのものの癖に。



「すみません、遅れたようですね」


相も変わらず海藻のような髪で目を覆っている。今のオレを救ってくれる、唯一の人。


カイルだ。



「フフフ、かこまれている場合ではないんですよ。もう開始時刻も近いですし」
「あ、ああ……そういうことなんだ、すまないな、子ネコちゃん達」




カイルはオレと同じくイナズマジャパンに敗退した、カタール代表のキャプテンだ。雰囲気はどこか猟奇的だが、すくなくともオレには危害を加えてこないから、安心できる……とまではいかないが、隣にいられる。


「カイルも随分と遅かったようだが」
「ああ、すみません。これを選んでいたので」


木陰に手を引かれるままに行き、人目につかないところで突然キスをされた。今までオレは何人もの女の子と付き合ってきたし、キスもしてきたが、カイルとのキスだけは、どこか違った。唇を合わせるだけで、気持ちがいいのだ。年を増すにつれ全体的にやわらかくなっていく女の子の方が唇はやわらかいはずなのに、カイルとのキスはやわらかくて、気持ちよくて、融けていくようなのだ。つい、更に快感を拾おうと目を伏せる。

唇を離されて目を開けると、しゃら、と音が聞こえた気がして、首筋に触れると、冷たい金属の質感。細やかな鎖がまるでオレをカイルに縛り付けるように首に纏わりつく。



「カイル……これは」
「プロポーズ、とでも言えば納得していただけますか?」


まだ中学生の自分達には早すぎる。とか。
男同士なのに何を言っているんだ。とか。


突っぱねる言葉は、いくらでもあったはずなのに。
自分よりも視線の低い相手に、素直に頷いてしまったのはきっと





2011.03.21
遅刻したのは私だ
たまには遅刻もいいでしょう

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