オレはこのイギリスという国に生まれ、このイギリスという国の至宝を手にした。別に王族とかってわけじゃない。ただ、恋愛対象として認められただけ、ではあるけれど。
「おいフィリップ、何をしている」
「何って……エドガーを抱き締めています」
「ばっ、ばかもの! そのように言うな」
オレの腕に閉じ込められている青髪青目の美人。彼こそが、このイギリスの至宝、エドガー・バルチナス。オレはこの麗人のことを前々から知っていたが、エドガーがオレを知ったのはきっと、FFIの選手として召集された時だろう。オレはエドガーほどの活躍はしていなかった。
彼、というだけあって、エドガーは男だが、オレの大切な人だ。その美しさを鼻にかけることはないが、尊大な物言いや態度は酷く惹く者とそうでない者を分けた。オレも最初、美しいとは思ったが、正直心許せる相手にはならないだろうと思っていた。だが、付き合ってみれば案外いい人だった。心配ごとを自分ひとりで抱え込んだり、受け身になると照れ屋だったり。人間味のある、普通の人間だとわかった。
「オレ、エドガーをこうして抱き締めていると、とても落ち着きます。けれど、すごく興奮しています」
愛する者といる安心感。愛する者といる緊張感。愛する者といる歓喜。
「私も……だ」
オレが、エドガーにそう言われて、嬉しくないとでも思っているんですか、エドガー。
座っていたソファにふたりして身を沈めた。散らばる青髪に今日も目を奪われる。
そしてこう囁くのだ。
「オレは、なんて美しいひとを手にしたんでしょう」
エドガーはおきまりで、
「ばかもの」
と呟き、オレの首に腕を回した。
2010.11.10
力尽きたフィリエド。
フィリップがエドガーに敬語遣ってるとかやばい。すげえおいしい
青の麗人