「豪炎寺さん!」
虎丸はあれ以来、キャラががらりと変わったような気がする。
あれというのは、あれだ。FFIアジア予選の2回戦、カタール代表「デザートライオン」と対戦した時だ。
あの時、最後の最後で2−2と追い付かれ、そしてそれまで頑なにシュートを打たまいとしていた虎丸がシュートを決め、3−2で決勝進出を決めた。
試合後、壁山が何故ここまでの実力を持つ者がFFに参加していなかったのだろうと言って、虎丸はまだ小学生だということを公表した。そしてキャラが変わったのだ。
虎丸の母親の話から、オレを尊敬しているらしいことはわかっていたのだが、まさかここまでとは思わなかった。
「……虎丸、暑いんだが」
「それはオレ達がラブラブだからですよっ」
まわりは慣れたようにスルー。
だが当の本人であるオレは慣れてなど全くなかった。
「オレと豪炎寺さんは巡り合う運命だったんですよ、きっと! だってオレ達、すっごく相性いいんですよ」
「虎丸、いい加減離れろ」
練習の直後、汗をかいているところに抱き付いてきた虎丸をはぎ取った。
「まあまあ豪炎寺、そんなに邪見にしなくてもいいじゃないか。虎丸も豪炎寺のことが大好きなんだよ」
「はい、そうなんです、風丸さんの言うとおりなんです!」
風丸は面倒見がよく、後輩などによく好かれる。いわゆる、母親気質なのだろう。だからか、こうやって言い争っていると、よく仲裁に入り、虎丸の味方をする。
「でもな、虎丸。豪炎寺が好きだからって押してばっかりじゃダメだぞ」
「じゃあ、引けばいいんですね!」
お前の行動の全てに引いてしまうのはこっちだ。
2010.11.10
虎豪前提の虎→豪。虎丸のテンションがおもしろかった。
押せ押せ年下と受け止める年上はうまい。
押すと引く