「そめおか、くん?」


北海道の白恋中でスカウトしてきたこいつは厄介だ。
その辺の女よりも白い肌に、仔犬のように潤んだ目。円堂と比べても小柄なこいつが、実は熊殺しといわれるほどの脚力を持つストライカーなのだ。



吹雪士郎。
キャラバンでの旅の先々で現地の女を堕としていった魔性の男。


今そいつが、オレを真下から見上げている。



「……あ、ああ、悪い吹雪」





そのキャラバンでの旅を終え、それぞれの学校へ戻って数カ月。再び集められたキャラバンメンバーと、他数名はフットボールフロンティアの世界大会、フットボールフロンティアインターナショナル、通称FFIで優勝の文字を日本へ捧げるために、16人を争った。



22人いたうちの6人は落ちるわけだが、まさかその6人に自分が含まれるなんて思いもしなかった。確かにオレは豪炎寺や吹雪に比べたら、劣っているのかもしれない。しかしフットボールフロンティアにも出場していなかった虎丸が選ばれるとは思わなかった。



オレは一応この稲妻町に住んでいて、そして雷門中の生徒なわけで。イナズマジャパンとして戦う同志ともよく顔を合わせた。


今日出会ったのが吹雪だ。あれ以来、顔を合わせていなかったなと思い出す。



「僕ね、怪我しちゃったんだ」


吹雪がいきなりそんなことを言うので驚いた。
いや、松葉杖をついていたから、わからなくはなかったのだが。まさかの足である。あのシュートを生み出す驚異の脚力をもった、あの足である。



「だから、ライオコット島には行けれないんだ。代わりは……染岡くん、だと思う」



だから。


頑張ってきて。





そういって松葉杖を片手にまとめ、空いた右手でオレのジャージを掴んで背伸びをした吹雪は、オレの唇を奪っていった。そう、まるであの、キャラバンで、オレが離脱する時のような―




2010.11.09
染吹の日だろうがあ!みたいなノリで。
吹雪はきっと、染岡に自分の代わりを頼む的なことを言いにいったんじゃないかと思っています、私が。
デジャヴ

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