はじめはただ、なんとなくだった。



オレと、鬼道。
互いに歳は違うものの、妹がいて。互いにサッカーしてて。


鬼道が音無を見る目は優しい。自他ともに認めるシスコンだ。ならば、オレも夕香を見る目はこんなにも温かいのだろうか。いいや、温かかったとしても、鬼道とはまた違う温かさがあるはずだ。



FF開催すこし前に雷門に転校してきたオレと、世宇子との戦いを前にして、仲間達の仇をとるために雷門に来た鬼道。

多少の違いはあれど、オレも鬼道も、円堂に惹かれたから今こうしてFFI本戦の会場、ライオコット島に来れている。



もし、円堂がいなかったら。オレ達は逢うことができなかっただろう。オレもサッカーを再開できなかったかもしれない。オレと鬼道は、すごく……似ているんだ。


「いよいよ今日だな、イギリスとの戦いは」
「ああ。オレ達はできる限りのことをして来れたと思う。あとはみんな次第だ」



たまに、不安になる。
鬼道のいう、できる限りのことをオレはできたのか。


勉学が苦手なつもりはないが、鬼道のその頭脳は天性のものもあって、考えていることの理解は難しい。鬼道の考えることとオレの考えること、同じなのだろうか。そう思ってしまうんだ。



「何て顔をしているんだ、豪炎寺」


ゴーグルの下から、不敵な笑みをみせる鬼道。
オレよりも小さなその身体を目一杯抱き締めた。大丈夫。まだ鬼道のいうことはわかる。


「今日も勝つ。次も、その次も勝つ」
「ああ。期待しているぞ、エースストライカー」




もしオレが点数を決められたのなら、たまには鬼道からご褒美をもらってみよう。
そうしたら、また頑張れると思う。鬼道がより近く感じられると思う。


「鬼道、今日オレが決めたら、ご褒美をくれないか」
「いいだろう。その代わり、しっかりと決めてくれ」



約束する、とキスをした。


こうしている時だけ、オレ達は似ていると、近くにいると、同じところを向いていると思える。感じられるのだ。




2010.10.14
豪鬼の日だなあと。
ちょっと鬼豪になりかけて焦ったからちょっと違和感がある。
絶対条件

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