「鬼道さーん!」
「ああ、佐久間か。どうした」
「鬼道さん見つけて走って来ちゃいました」



えへへ、と笑う眼帯の佐久間、と呼ばれた少年。
美麗な見目をしているが、れっきとした男であり、彼の属する帝国学園サッカー部の参謀を務める、油断ならない人物だ。


一方、彼が駆け寄ったマントにゴーグル、ドレッド頭と不思議な人物はあの大財閥、鬼道の者らしい。佐久間と共に帝国学園サッカー部のユニフォームに身を包み、フィールドを駆け、それぞれに指示を出す天才司令塔。学問にも長けているからか、周りの者達は自然に鬼道さん、と敬う。



「今日は何の練習をするんですか?」
「今日は皇帝ペンギン2号の連携を深めたい。佐久間、期待しているぞ」
「はいっ!」



ことに、佐久間は他よりも鬼道を尊敬し、慕っている。鬼道を主人と例えるのならば、佐久間はいわば犬ともいえよう。鬼道の言葉に頬を赤らめ、笑顔で素直に頷く様は、他の者への態度では見られない。この笑顔は帝国学園で、「佐久間が女でないことがとてつもなく勿体ない」といわれる原因でもある。それを唱えるは、多くの男子生徒と、それを遥かに上回る人数の女子生徒だ。




「佐久間、オレの練習に付き合ってくれないか」


ことの発端は源田の一言にあった。


「嫌だ。オレは今日鬼道さんと皇帝ペンギン2号の練習をするんだ!」


佐久間は強情なので、言い出したら聞かない。例外を除いて。


「源田、佐久間。何をもめている」
「鬼道さん! 源田のやつがオレ達の練習の邪魔をしようとするんです!」
「わかった。それじゃあ源田、オレが付き合ってやるから、佐久間には練習させてやってくれ」



源田は頷くと、今度も佐久間が抗議する。


「鬼道さんはオレと練習してくださるんじゃないんですか?」
「仕方ないだろう、帝国のゴールを守っている源田にも練習をさせねば」



源田は心の中で呟いた。


いっそ、皇帝ペンギン2号でもなんでもいいから、捕らせろ。
このバカップルが。





2010.10.11
鬼佐久の日ってなわけで。佐久間が楽しいぞすごく。
源田はすこし可哀相な立ち位置が似合うし、書き易い。
わかったこと

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -