「こ、なこと……っ、お前などにやってもらわずとも、私にだって」
「はいはい、いい子で寝てて。今38度あるんでしょ」




グランのひんやりとした手が私の額に触れた。冷たさが心地いいくらいだ。
今、私はグランの言うとおり、熱がある。もう目の前が霞んでいるのが現状だ。
しかし、何故グランに介抱されなければならないのだ。よりによって、グランなんかに。



「おいグラン。こんなところで何をしている」
「ウルビダ、今日の練習はウルビダが指揮を執ってくれ」




その時、幻覚の見えていた視界はブラックアウトした。







「あ、起きた?」
「グラン……いっ、今は何時だ!」



急に起き上がると頭がぼうっとし、すぐにくらりと眩暈がする。視界が再びブラックアウトしかけた。


「ああ、まだちゃんと寝てなくちゃ。今は7時だけど、夕飯食べれそう?」
「ん……少しなら」


グランが運んできてくれたお粥をすこしずつ冷ましながら口にしていく。
半分も食べない辺りで手が止まった私に、グランは食器を下げた。


「ガゼル、あーん」


子供に対するように擬音語で開口を求めるグラン。
私が大人しく口を開くと、グランは口付けてきた。そのまま水と薬のようなものが入ってきて、つい飲みこんだ。




「なんてことをしてくれたんだ、貴様は」



私は布団に包まる。恥ずかしくてグランの顔を直視できない。



「だってガゼル、昔からカプセルの薬苦手でしょ」



そういわれて初めて気付いた。
飲まされた薬がカプセルだったことに。そのカプセルの薬が飲めたことに。



「早くよくなるといいね、ガゼル」



私の頭をひと撫でし、席を立とうとしたグランだったが、私はグランを引き留めた。
病床の際の独り身は、辛いと聞く。私もきっと、人恋しかったのだろう。






2010.10.10
基涼でした。ガゼルたま風邪をひく。
この後風邪をひいたグランがいたとかいなかったとか。
時には甘えも必要

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