さあ、行こうか。
そう言って手を差し出す茶髪の少年は、世にも有名なフィディオ・アルデナ。FFIにて決勝トーナメントにまで進んだイタリア代表のエースストライカーである。そんな彼は、目の前の人物に久々に逢えたからか、ふんわりとした笑顔で花のようである。

一方、すこし控えめにその手を取った金髪の少年は決勝トーナメントには残れなかったもののFFIにて活躍したアメリカ代表のキャプテン、マーク・クルーガーである。


彼らはFFIにて予選リーグを同じくグループAで戦った仲ではあるが、実はそれ以前から知り合いであった。やはり力ある者は同じく力ある者に惹かれるようで、フィディオとマークは互いに互いを認め合っていたし、かといって慣れ合うだけではなく切磋琢磨もしていた。とにかく、中々にいい仲ではあったのである。



「久し振りだな、こうしてフィディオと歩くのは」
「最近はFFIで忙しかったからね。でもまさかマモルが優勝するなんて、誰が思っただろう」



フィディオのいうとおり、マモル……円堂守という少年がキャプテンを務める日本代表チームは、それこそ発展途上で、予選リーグで最初に当たったイギリス代表に勝ったことで世界各国からの日本へ対する見方が変わったくらいだ。


「カズヤから話は聞いてたけど、本当にエンドウはすごい奴だったな。それに……どこか、カズヤに似ていた気がする」
「へえ、イチノセに?」



ふたりがこうやって私服で街中を歩いていれば、変装も何もしてないので、有名人なふたりはすぐに注目の的となる。マークは中学生には見えない色男だし、フィディオも年上から見れば年並みのかわいらしさが、同い年以下から見れば格好よさがあって簡単にいうならイケメンふたり組である。


「でもさあ、やっぱりマークってアメリカでもこうなのか?」
「まあな。そういうフィディオはどうなんだ?」
「オレはもっと気軽に話したりとかするけど」



だが、イケメンふたり組なフィディオとマークは所謂恋人同士である。互いに互いが盗られまいと自然に手を繋いだ。どちらからとも取れないくらいに自然に。


「マーク、走ろっか」



にこりと笑ったかと思うと、走りだす。
流石はイタリアの白い流星、速かった。



マークは自分よりもすこし速い恋人の横顔に、はっきりと男の顔が出ているのに気がついた。嫉妬、だ。


そのフィディオの表情に満足したような笑顔を見せるマークは、手を引くフィディオに素直について行った。




2010.10.09
日記見てフィマクの日でもあるなと思った。
もうちょっとフィディオを攻めっぽく、マークを受けっぽく書きたかった。
色男がふたり並んで歩いたなら

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