※にょメトロン
「いやっ、だめっ、近寄るな、ゼル!」
甲高い声を張り上げて誰かを押し退けるのは赤い全身タイツのような格好で背に10を載せる、紫色の髪をした少女。
「なんでなんだ、メトロン!」
名を、メトロン。
追いかけている白髪の少年をゼル、という。
「うっわー、メトロンかわいそー。しつこい男って嫌われちゃうのよねえ」
「メトロン溺愛なのはわかるんだけどねえ」
その光景を見て呟くふたりの少女。飴を舐める、扇風機に似たお団子頭の少女をマキュア、隣で納得する美女をクリプトという。そのふたりの後ろに隠れるメトロン。不安げに瞳が揺れている。
「おいメトロン、マキュア。ガイアブレイクの練習をするぞ。デザームさまやお父さまのために」
「きょっ、今日はやめようよゼル」
ゼルの言葉にどもりながらも否定するメトロン。
「どうしてだ」
「今日、おなか痛くて……」
そのワードだけで女子組は理由がわかったらしく、よってたかってメトロンの味方をする。メトロンはかわいらしい容姿をしており、それを鼻にかける様子もなく、控えめなのがここまで人気がある理由だ。
「腹痛などで済まされるか! さあメトロン、マキュア、ガイアブレイクだ」
「いーやー!」
「何をしている」
「デ、デザームさま!」
かくかくしかじかで、とマキュアがデザームに伝えると、デザームまでもがメトロンの味方についた。
「ゼル、知らないのか。女は月に一度、子を成すための機能が働くのだ。その際に腹痛や出血を伴う。いわば今、メトロンは貧血状態だ。過度の運動をさせないように」
デザームの命令とあらばゼルが従わざるを得なくなる。
渋々と引き下がった。
「とにかく、ゼルは近付いちゃだめ!」
メトロンは白い頬を赤くして声を上げる。
「だーかーらー、何でなんだって!」
「……えっちな気分になっちゃうから」
メトロンの言葉に一同は口をあんぐりと開けた。閉まらない様子だ。
「だ……だって、ゼルが、いっつも触ってきて……!」
「お、おいメトロン!」
互いに頬を染めるゼルとメトロンは一応公認カップルだったりもする。
「ゼル! あんたっ、マキュア達のメトロンに何してんのよっ!!」
「落ちつけマキュア」
デザームが止める。
「ゼルの赤ちゃんつくりたいから……だから、1週間待ってて」
メトロンはそれだけいうと、女子組と共に談話室を出て行った。
その時のゼルの顔の赤いことといいったら、この上なかった。
そして、傍観するイプシロンメンバーは自重という言葉を知らないバカップルに溜め息を吐いた。
2010.11.10
ゼルメトの日でもあるってことで、ゼルとにょメトロンでした。
ネタは生理。生理の時にガイアブレイクって大変じゃないのかなあ、と思いまして。
女の子の日!