新novel | ナノ
わたしは執行官だけれど
ドミネーターで対象物を撃つかどうか
わたしには判断できない

撃てといわれれば撃つ
撃つなといわれれば撃たない

それ以外の選択肢はない


わたしは潜在犯でもある
生活の自由なんてほとんどない
常に監視されている


でも、わたしには意思がある
でも、その意思すらも全て託してしまえる人がいる


征陸さんの部屋のソファに沈み
穏やかな顔で絵を描く彼をじっと見つめる


1時間近くもこの状態が続いているから
暇なのだけど、この時間が好きだったりもする


でも、非番が重なることはあまりないから
我慢しきれない
征陸さんに纏わりつくことにする


「…、そろそろ来るころだと思ったよ」


「分かってたならおいでって言ってくれればいいのに」


「来てほしいとは言ってないだろう?」


「来てほしいとは言ってないけど思ってはいたでしょ?」


「…」


「無言は肯定しているものと受け取りますが」


「好きにしてくれ」


「好きです」


「なんの話だ」


「わたしを好きにしてほしいって話です」


「そんな話だったか?」


「伝わってませんでしたか?」


「いや、そんなのは今更な話だろう」

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テーマ「人外ファンタジー」
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