新novel | ナノ


「ねえ、キスして、抱いて、結婚して?」

「…お前は時と場所を考えろ」


只今、次の商談相手の所へ車で移動中
車内には俺、なまえ、ココ、バルメの4人だ


運転手はやはり俺で
なまえが唐突におかしな事言い出すから運転に支障が出そうだ


バルメ
「なまえとレームは結婚は考えていないんですか?」


「なっ?!、バルメまで変なこと言い出すんじゃねェヨ!事故っても知らねェぞ」


ココ
「部隊に夫婦がいてもいいよ、仕事に支障が出ないなら」


「ココまで…。」


「と!言うわけで結婚しましょう結婚!」


「あー、分かった分かった、その話は仕事終わってホテル着いてからな」

「はーい!」


キラキラと目を輝かせるなまえ
ハアアアァ…、結婚、ねえ…



−ディナー後ホテル室内

俺は大体ベランダで煙草ふかしてっかカウンターで酒飲んでるんだが
そこに当たり前のように隣になまえがいる

今日はカウンターで酒を一杯呷っていた
昔の仕事の関係でバーテンダーの経験があるなまえはカウンターの内側に立ち
自分用のカクテルを作っている

そこには会話はなく、穏やかな空気が流れていた

沈黙を破ったのはなまえだった


「ね、昼間言ったこと忘れてないよね?」


ニコリともニヤリともとれる笑みを浮かべ小首を傾げて俺に問う


昼間言った事、結婚の話か
正直、俺自身は家庭を持ちたいとか子供が欲しいとかいう感情はなく
過去にチェキータと結婚離婚繰り返したのは只たんに楽しいから、だった

でも今はこの中身がまるでオコチャマのなまえに目が離せねェ
結婚もしてもいいがまあそれは形式上だけって事になるだろう

今の仕事をやめるつもりはないし、なまえだってないだろう
だから、なまえが結婚したいというならする

ただそれだけのことだ。


「お前が結婚したいってんなら籍を入れてそれなりの指輪を買ってやろう
だが、仕事はこれまで通りだ
子供もつくらねえ
…それでもいいなら結婚してやる」


俺の言葉をニヤニヤしながら聞いていたなまえは一つ頷くと
カウンターの上にするりと乗り、俺の顔の近くで


「それでもいい、レームを完全にわたしのものに出来るなら」


触れるだけのキスをし、カウンターの内側へと戻っていった

いつものコドモっぽいなまえとはまるで違う、色っぽい表情のなまえを見たせいか酔いが回ってきた

…一服して寝るか


ベランダへ出て煙草をふかしているとカクテルを持ったなまえが俺の胸に背を預けてきた


黒のタンクトップから胸元が見える
酔いが回っているせいなのか妙に意識しちまう


「お前、そんな格好して寒くねェのか」


平静を装い俺の上着を貸そうとする
なまえは上着を脱ごうとする俺の手を止め、上着のチャックを開け体をこちらに向けて体を密着させる


「こうすれば寒くないよ、フフッ」


意識させようとやっているのか、無意識なのかわからんが酔いの回った俺には厳しいものがあった



「あれ、照れてるの?珍しいね、可愛い」


「ったく!イイ大人をからかうんじゃねェよ!」


頬をつねってやれば無邪気な笑顔を見せる
かと思えば上目遣いでキスを強請るオンナの顔も見せる


「おじさんを困らせるのが好きなのかい、オジョーサン?」


「んーん、レームが好きなの」


ニコリと笑うなまえに俺の理性の糸は音もなく切れて
乱暴に深いキスをした
甘ったるいカクテルの味が俺を更に興奮させた


なまえは嬉しそうに首に手を回し足も絡ませる
ショートパンツから伸びる生足がまた俺を誘う


今までのオンナはみんな俺主導だった
今は完全になまえが主導権を握っている

俺は、なまえの中に堕ちた感覚の中、また深いキスをした



堕ちた先の楽園

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