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ココ
「今日はハロウィンです!」


マオ
「…突然どうしたんです、ココさん」


今日は10月31日、珍しく仕事が丸一日ない
広いホテルでみんな、ダラダラと本を読んだりテレビを見ていたりとくつろいでいた最中、ココはソファから急に立ち上がり叫んだ


ココ
「私が今日、何故一日仕事を入れなかったと思う?
正解はみんなで仮装パーティーをしたいからですっ!」


ルツ
「え、そうなの?そんな適当な感じなの?」


ココ
「適当?
これはとても大事な事だよケツ君、ヨナが入隊してから初めてのハロウィンだ
パーティーも経験のうちだよ」


ルツ
「お、お嬢!ケツじゃねーって!」


トージョ
「ダッハッハ!ケツ君!」


ルツ
「トージョ!黙れ!」


アール
「それはそうと、仮装しようにも衣装がないぜお嬢」


ココ
「フッフッフ、この私が準備を怠ると思うか?
みんなの分の衣装はもう用意してあるのだよ!

さあ!各自さっさと着替えたまえ!」


そういうとココは寝室のドアをバッと開ける
部屋にはダンボールが3つほど置いてあった

ダンボールをあけると小分けされた黒いビニール袋にひとりひとり名前がかかれたシールが張ってある


意気揚々と袋をとっていく人もいれば、面倒くさそうにしぶしぶ感が全身から出てる人もいる
…ヨナはあまり表情には出してないけどちょっぴり楽しそうだ


さて、私の衣装はどれだろう




…袋を開けると黒い矢印のしっぽが飛び出してきた
どうやら悪魔、サキュバスのような衣装みたいだ

衣装といっても布の面積が異様に小さい黒いビキニに黒い翼としっぽがある程度
これを着ろってか、恥ずかしいわ!


「ココ!これとっても着辛いです!パーティ欠席します!」


ココ
「却下。もし欠席したら給料30%減」


「うえー!酷い!職権乱用!」


ココ
「へえー、なまえはレームの仮装姿みたくないんだあ?ふーん
それならそれでいいけど」


「あっ!それがあったか!」


そうです、そうなんです
私がこの衣装を着なくてはならないデメリットはあれど
レームの仮装姿を見れるんです!
…これは、参加せざるをえない……


「で、でもココ
この衣装はちょっと…、いやかなり恥ずかしいものが…」


ココ
「仮装をしない者は参加を認めない!
衣装の変更も不可!
ほら、さっさと着替える着替える!」


シッシと追い払う仕草をするココ
どうやらココは着替え始めるみたいだ

バルメはその横でもくもくと着替えていた

…仕方ない、私も着替えよう




レームside

なりゆきで仮装なんぞをしなくてはならなくなったが、有難いことに衣装は割かし普通のものだった

黒いスーツに歯につける牙、これだけだ
どうやら吸血鬼らしいが…、吸血鬼はアールやルツ辺りかと思ったがな

まあ狼やら猫やらの耳をつけるよりはマシか


着替え終わった面々はパーティの準備に取り掛かっている
…俺はちょっくら休憩させてもらうかな


ベランダへ出て煙草を取り出す
夕日がしずみかけてものすごく眩しい


「れ、レーム?」


「ん?」


不意に背後から呼び掛けられる、この声はなまえか


ふりかえると、うつむき気味のサキュバスが居心地悪そうに立っていた


「…おいおい

……おいおい」


俺はあまりの衝撃に言葉に詰まった
思わず咥えていた煙草を落とすかと思った

俺の様子になまえは耐えられなくなったのかカーテンにくるまって
「もう嫌だ!なにこれ!嫌だ!レーム普通じゃん!スーツじゃん!」と叫びだした


「あー、なまえ落ち着け、こっちこい」


「いやです!もう今日はカーテンから離れません!」


「いーから、こっちこい」


抵抗するなまえをカーテンから無理やり引っぺがし腕の中へ引き寄せる
というか半ば拘束している状態だ


腕の中に押し込められたなまえは観念したのかすっかり大人しくなった
が、先ほどよりも俯いている


「なまえ、顔あげろ」


「…いやです」


「なんでだよ」


「はずかしいからです!この衣装、明らかに布の面積が足りません!」


「いいじゃねえか、いい体してンだからヨ」


「よくない!全然まったくよくない!
ってゆーかレーム普通じゃん!仮装じゃないじゃん!」


「馬鹿、よく見ろ
れっきとした吸血鬼だろうが」


なまえの顎を持ち上げてこちらを向かせる
牙を見せてやるとなまえはじっと俺の顔を見つめる

…かと思えばすぐに顔をそらしてまた暴れだす


「うわあああ!吸血鬼!血は吸わないで!痛いのは嫌だ!」


「ああー、煩ェ
大人しくしたら噛み付かないでやる」


「本当ですね!嘘つかないでね!痛いのは嫌だからね!」


「嘘じゃねェって
っていうかこの仕事してて痛いのは嫌ってどうなんだよ…」


「それとこれとは話が別です!
っていうか上着貸してください!もうこの格好してるの限界!」


「それは出来ねェな
こんなイイサキュバスはそうそう見れないからな、ヘッヘ」


「ああー!もう恥ずかしい!誰か!上着ください!」


「あー、愉快愉快」


「そうですか良かったですね!わたしは不愉快です!」


アール
「あの2人、楽しそうだな」


バルメ
「いい事じゃないですか
少々喧しいですが」


アール
「微笑ましくもありなんだかこうムカつきもするな…
ってかアネゴはナースか

俺は医者だしイイ事でもする?」


バルメ
「しません、少しでも触れたら命はないと思ってください」


アール
「はあーあ、厳しいねえ、アネゴは」

おまけ ※微裏

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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