新novel | ナノ


「おいコラ、何してる」


「レームの耳の上のほうを引っ張っているよ、割と強めに」


ソファに座るレームに跨りながら彼の耳をつまんでいる私
彼はわざとらしくため息をついている

けれどもその行為を止めさそうともせず、私を上から退かそうともしない

「ねえ、嫌じゃないの?」


「嫌というか痛ェな」


「でも止めさせないの?」


「そうだなァ…、言ってもきかないお嬢さんだからな」


にやりと笑うレームは私の腰を自分のほうへ引き寄せて新聞を読み始めた


「ねえ、新聞を読むの止めて」


「なんだァ?俺に自由はないのかよ」


「レームの自由?馬鹿な事言わないで
レームのどの時間も私のものに決まってるでしょ?」


「んじゃあトイレにすら満足に行かせてもらえないのか、俺は」


「トイレにくらい勝手に行けばいいじゃない
そこまで束縛する気なんてない」


「おいおい、言ってることめちゃくちゃじゃねえか」


「なんでもいいの
私から離れたら殺すから」


「…無茶苦茶な彼女だな」
「そんな無茶苦茶な彼女が嫌なら離れればいいのに
レームだったらすぐに出来るでしょ?
私を解雇にすればいいんだから」


「それが出来ねェからなあ、俺も困ってるところだ」


「どうして出来ないの?私の力がこの部隊に必要だから?」


「んな分かりきった質問するなよ
今日は特別絡んでくるな、何かあったか?」


「そういう気分なの
ねえ、今日は一緒に寝て?」


「一緒に寝るったってなァ…。
男部屋で寝るか?他のやつに気ィ使わせるかもしれないが」


「2人きりじゃないと嫌」


「んじゃあ今日は無理だな
ココに頼んで同じ日休みにしてもらうしかねェ」


「今日じゃないと嫌」


「あーあ、本当に困った女だな、ヘッヘ」


おかしそうに笑いながらレームは私を抱き上げる
どこに連れて行くのかきこうとしたら背中を一撫でされた

…黙っていろということみたい

着いた先はベランダ
備え付けのイスに私を降ろしてレームは柵に寄りかかって煙草を吸い始めた


「離れたら殺すって言ったでしょ」


後ろから抱きつきながらレームの横腹をつまむ

「いッてて、加減をしろ加減を」

横腹をさすりながら私を軽く睨む

「離れるのがいけないの
殺されないだけ幸せでしょ」


「あんまり絡みすぎると後でお仕置きされるぞ、カワイコちゃん」


「やれるものならやってみてよ
泣き叫んでやる」


「はあーあ、全くお前には敵わないよ」


困ったように笑いながら私を腕に閉じ込めた



貴方は私を遠ざけられない

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テーマ「人外ファンタジー」
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