「ちょちょちょちょちょちょちょちょいまち真ちゃん!!落ち着けって!!!!」
「何故なのだよ。人に散々食わせておいて。」
「いやいやいやいやそうじゃなくてさあ!!」

それが起こったのは、別にいつもとなんら変わらないある日の事だった。いつもの様に高尾が自転車をこいで、いつもの様にに居残り練習をして、そしていつもの様に疲れた体に妙な満足感を感じる、いつも通りの日だったはずだ。が、事件が起こったのは、さあ帰ろうとしていたまさにそのときである。「おい高尾、そこに座れ」と言う唐突な緑間の発言を高尾は疑問に思いながらも、大人しく従ってしまったのがいけなかったのかもしれない。へいへい、と素直に指定されたベンチに腰を掛けた高尾の脚を突然つかみ、その間にこれまた突然緑間が顔を入れてきたのだ。これには高尾もびっくりである。いくらシャワーを浴びた後だからといってそんなところに顔をつっこまれたら誰であっても慌てるだろうし、緑間のその行動の意味が分からないほど、高尾達の関係は浅くはなかった。あまりの出来事に慌てる高尾だが、緑間からしてみればただ自分の欲求に忠実になっただけである。だが、高尾は違う。今までに無かったシチュエーチョンだとか、なんやかんやで緑間にそんな汚い事はさせられないとか、高尾の頭にはいろいろな意見が飛び交っていたが、その場を一番占めているのは「まずい」である。

(いやいやいやいややばいっしょ!!どうしよう!!)

高尾は焦っていた。現在進行形で焦っていた。緑間の行動の理由はだいたい予想はつく。大方アレが本当に高尾の精液かどうか確かめる為とかだろうーーーアレとは何か。そう、例のサンドイッチである。
結論からいってしまえば、「まさか本当に信じるとは思わなかった」だ。
つまり、アレが高尾の精液入りサンドイッチだなんてのは、真っ赤な嘘である。(当然だ。精液が甘いだなんて高尾だって聞いたことがない。)ならば何故あんな嘘を着いたかと言えば、まあやはりと言えるが、単に緑間を高尾がからかっただけだ。弁当を作った時点で特に下心は無かった。が、デザートのための生クリーム入りサンドイッチを思い付いた時点でアウトだったのかもしれない。ほんの遊び心だった。ただ白いのが何となくソレを連想させ、それをきっかけに、だったらもっとリアリティを出した方が、なんて下らない遊びが始まってしまい。最終的には何故か「緑間を騙す」という目標が高尾の中で掲げられてしまっていて。そうして遂に完成したのが、アレである。しかし緑間がコロッと騙されてしまったことが高尾のツボに入ってしまい、そのまま黙っていたのだ。だから高尾の精液なんて一滴も入っていない。入っているのは練乳と生クリーム、それから謎のリアリティを出すために使った塩のみである。アレらは一から十まで嘘であり、つまり高尾の精液は甘いわけでは、ない。が、性的な事は最低限のことしか知らない緑間は勿論精液の味なんて物は知らない。用は緑間は現在進行形で高尾の精液は本当に甘いと思い込んでいるのだ。(高尾は知らないが。)しかし、何度も言うが高尾の精液は甘いわけではない。つまりは、この状況はかなり不味い。何故なら緑間に嘘がバレるからである。そんなことが怒れば、高尾の命は無いだろう。少なくとも1ヵ月は口をきいてもらえないに違いない。それは流石に困る。

「真ちゃん真ちゃん、待って真ちゃんお願いだから待って!!」

シャワーを浴びてからもハーフパンツを履いていた高尾は、それをずり下げられて焦りが最高潮に達していた。だが、それでも所詮は健全な男子高校生である。自分の恋人が股の間に顔をいれ、今から貴方のモノをくわえます、なんて現場を目の当たりにしたら、まあそうなるであろう。

「・・・何故勃てている。」
「いやんな事言われたって。」

「なんだお前だってその気なんじゃないか」と言われてしまい高尾はぐぅ、と押し黙った。そんな高尾に気をよくした緑間は、今まで何度高尾に頼まれてもやらなかった事を、何の躊躇いもなくやってしまう。緑間は高尾自身を口に招き入れたのだ。
絶句、である。
あの緑間が、プライドの塊のような緑間がと高尾はくらりとしたが、全く別の事にもくらりとした。緑間がしばらく舐めたりしてから口を離して眉を潜める。(このとき既に高尾は完全に勃起していた)

「・・・しょっぱい、のだよ」

高尾はギクリとした、そして同時に決意した。
もう引き返せない所まで来たのだ。こうなったら最後までやらせよう、と。

「ほら、まだ先走りだからさ。俺がいれてんの精液だし。」
「む・・・成る程な。」

緑間が変な所でずれている(馬鹿とも言う)事にここまで感謝したことは無いかもしれない。高尾は緑間の性に関する無知さに感謝していた高尾だが、その余裕も直ぐに崩れ去る。緑間が突然、ずず、と音を立てて高尾の性器からまさに絞りとる勢いで吸い出したのだ。思わず小さく唸った高尾は慌てて緑間に制止をかけようとする。このままでは数分持たずに射精してしまうからだ。しかしそんな高尾の気持ちも露知らず。緑間はそのまま壮大なバキュームを続けてしまう。高尾はあまりに強い快感に言葉が出ない。そしてついに高尾が我慢出来なくなった。

「ん、・・・っごめ、ん、真ちゃん!!」
「んぐっ!?」

高尾は緑間の頭をガシリと掴むとそのまま腰を前後させた。緑間は突然の事に混乱してしまいされるがままだ。高尾自身が喉の奧まで入り込んできて咽づく。そして次は緑間が制止を求める前に、高尾がぐっと腰を止めたかと思えば、緑間の口に生暖かい物が広がった。高尾が射精したのだ。はぁ、と熱の籠った吐息を漏らしてから、次はさぁ、と顔から血の気が引いていった。
しまった。何も考えずに出してしまった。
慌てて吐き出させようと下をみれば、既に緑間が高尾の精液を嚥下してしまっていた。高尾は天井を仰いだ。あぁ、終わった、と。萎えた性器が外界に晒されたのが温度で分かり、おそるおそる下の緑間を見る。そこにいたのは怒りを露にした緑間ーーーーでなく、どこかご満悦の緑間で、高尾は「え」と思わず口にした。緑間は口の端についた精液を親指で拭ってそれすら舐めとる。

「ん・・・やはり直接の方が甘いな。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」

たっぷりと間を空けて三秒。あからさまに困惑する高尾とは反対に納得したように頷く緑間に、高尾はおそるおそる聞いた。

「・・・真ちゃん?あの、えっと?んん?」
「・・・なんだ。お前の手を煩わせないよう直接飲んだまでだ。」

緑間はそう真顔でいってのけるが、高尾が聞きたいのは何故かではない。何故だ、である。

「あの、真ちゃん?」

が、ここで高尾の頭にひとつの仮定が立てられた。が、あくまでも仮定であり、確証ではない。限りなく確証に近い仮定だが。しかしそれはあまりにも現実味が無く、尚且つある種ファンタスティックな考えである。

「えっと、その、」
「さっきからなんだ。」
「・・・あ、まかった?」

我ながらなんて馬鹿な事を聞いているんだと思いながら、高尾の心臓はバクバクと音を立てていた。いやまさか、そんな馬鹿な。が、高尾の期待を裏切るように緑間は、ふい、と顔を背けて一言。

「・・・今度からは、直接飲む。」

高尾和成、本日二度目の驚愕である。


eat me!!
(・・・ごめんね真ちゃん、一生責任取るわ。)
(は?)







高尾ちゃんのザー●ンは甘いと洗脳されちゃった緑間君でした。アホみたいな話ですみません。




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