「寒いのだよ高尾。まだか。」
「あとちょっとだって!!頑張れ真ちゃんっ!!」
「俺は別に疲れている訳では無い」
「あ、もーすぐ頂上!!」

小さな言い合いをしていると、階段の終わりが見えてきた。ざり、と踏みしめた最後の一歩。そこに広がるのは小さな丘で、そこから見渡せるのは町全体だった。夜中と言えども灯りは着いている。夜景と言うには少し質素かも知れないが。チラリと真ちゃんを見れば、眼前に広がる景色に目を見張っている。

「・・・どうやって見つけたんだ、こんな場所。」
「んー?俺が中学位だったかなー。珍しく親とケンカしてさ。内容は彼女についてだった。あんまり素行が良くない奴だったからさ、親が反対して。俺もダメだーって分かってたんだけど、反対されたのがなぁんかムカついて。で、家飛び出したんだ。」

丘を少し進んだところで座り込む。すると真ちゃんも一緒に座って、勿論手は繋いだままだった。
あの頃は確か反抗期真っ盛りで、親に反対された、という事実に腹が立ってしまったのだ。考えなしに走り出して、疲れたと立ち止まったのがあの階段だったのだ。

「やっぱり今日みたいに暗くてさ、なんとなく上ってみたらここに着いたんだ。で、ここもやっぱり今日みたいに景色が綺麗で。ぐちゃぐちゃ考えてた事が全部綺麗に浄化?されてったんだ。それから嫌な事あったら毎回ここに来てた。で、初めてここに来たとき、柄にもなく思ったんだ。」

『何時かこの景色を、誰か大切な人に見てもらいたい』

「まじ柄じゃねーよな。でも本当にここが好きで、だから

だから俺は、いつか真ちゃん見せたいって思ってた。」

地面についている繋いだ手を離して、指を絡めた。軽く握りしめると、それに応じるように握り返してくる。喉の奥の方がむずむずとして痒かった。が、何の返事も無い真ちゃんに、どうしたものかと横を向けば、それと同時にベシリと額にデコピンを喰らった。

「っだ!?」
「馬鹿だな高尾。」
「は!?」

人がせっかく話していると言うのに!!と文句を言えば真ちゃんはそれをふんと鼻で笑った。そうして手を繋いでいない右手でカチャリと眼鏡のブリッジを押し上げる。

「こんな事の為に俺の大切な『お願い』を使ったのか。馬鹿め。そんなのは頼まれなくてもいつでも行ってやるのだよ。」
「っえ。」

下を向いて額を擦っていたが、その言葉を聞いた瞬間弾けるように顔を上げた。真ちゃんは上げた顔が間抜けだったからかまたひとつ鼻で笑う。

「だから、今のは無しにしてやる」
「は?」
「今のはチャラにしてやるから、何かもうひとつくらい願い事を言え、と言うことだ。」

そう言った後、真ちゃんはふいと顔を前に背けた。その耳が赤くて思わず吹き出す。真ちゃんが怒って此方にもう一度顔を向けた所で、ズイッと顔を近づけた。そうして耳元で囁く。

「じゃ、さ。真ちゃんから、ちゅーして?」

顔を話して口角を上げれば、真ちゃんは「仕方のない奴だ」と、珍しく笑って。


深夜23:59、俺たちは唇を重ねた。



Happy birthday Takao!!
愛しい貴方に、誓いのキス。





高尾ちゃんお誕生日おめでとおおおおおおおお!!!!////




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -