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元親は真帆の部屋を出ると武器を取りにいくために自室へ向かった。
―何かが違う。
武器を手に取りながら、ふと違和感が頭をよぎった。
…静か過ぎるのだ。
宴をしていたはずの城内ならば、給仕をしている侍女なりが通るはず。それが人一人おらず、宴会の騒ぎ声も無く、しんとしている。
気持ちの悪い静けさに眉を潜めながら武器を手に取り自室を出た。
港へ着くとそこには誰も居なかった。
船すらない。
一体これは…。
(…まさかっ!?)
踵を返し城へ全速力で走った。
さっきの櫓衆、よくみればなまっ白い肌をしてやがった。
―謀られた。
気付いた時はすでに遅し。
あの違和感は間違いじゃなかった。
城へつき、真帆の部屋へ向かいながら途中の部屋を除くと気を失っている者、眠らされている者、中には事切れている者までいる。
頼む、どうか真帆だけは…
「真帆っ!!」
勢いよく戸を開けるも、そこに真帆の姿はなく変わりに達筆な文字がかかれた半紙が置いてあった。
「ッチ。どこのどいつだ!こんなことしやがるのはっ。」
叫び壁を殴るも声は虚しく霧散して、しんとするばかりだ。
―守ってやると約束したのに
半紙を拾い上げ目を通す。
「――山にて待つ。」
最後はそう綴られ、署名はない。目当ては今日の宝の中にあった南蛮の珍しい武器か。
「待ってろ真帆。」
元親は我をも忘れ部屋を飛び出した。
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