「―――そういや、」







こうして








「お前と話すの初めてだな」






















夢みたい







そう、さっきの雨が夢みたいに弱まっていた。







夢みたい








家まで送ってくと言ってくれたのが








傘の下、元親先輩が隣に居るなんて








「そうですよね、」









彼が肩に掛けてくれたジャケット

彼の体温を逃したくなくて
濡れた体で必死に温める。




もっと話したいのに言葉が出てこない








「にしても、」






何で土砂降りに走ってやがった?

突然の、でも聞かれても不思議じゃない質問に一瞬詰まる。







「本を…濡らしたくなかったんです」

「本?」

「新しく買った」








『うめぇじゃねぇか泪!』









「大切な本なんです」










これからの私にとって








きっと、きっと。












「…そうか」






ふっ、と笑う彼。
だが、と。







「自分の体も大切にしろよ?」







ぽん、と頭に手を置かれる。








「お前はたった一人の頼れるマネなんだからよ」

「…!」

「……と、ここか?」






気付けば家の前で。
雨も止んで彼が傘を閉じる。






「元親先輩」






ありがとうございました
そう言うと「ん?あぁ、いいって事よ」と返してくれる。






「体冷やさねぇようにな」

「はい
……―――あ、元親先輩!」





踵を返した背中を呼んで






「どうした」

「傘忘れてますよ」









ァ…―――










「―――やるよ」

「えっ…」







やるっ…て







「でも」

「あ―――邪魔なら持ってくぜ?」

「!!邪魔なんかじゃ」








そんな事









「ないです…」










ある訳ない










「本当にいいんですか…?」

「あぁ」







気にすんな








「もう」








ふと彼が
空を仰いで









「晴れてるだろ」









雲が晴れて太陽が顔を出していた。
眩しそうに、でも嬉しそうに彼は笑う。








「荷物なるしよ。
無茶するお前にくれてやらァ」







ガシガシと頭を掻きながら言う先輩。








「じゃあな」

「あ…!」






行っちゃった…








半分顔を隠すようにそそくさと消えてしまった彼。
残ってしまった、自分の手に握られたままの傘を見つめた。

紫のビニール傘。
元親先輩の色。





『自分の体も大切にしろよ?』





「元親、先輩…」





ぎゅっ…





大切にしますね






あなたの傘






It's little little…
promise

(あなたに好きと)
(伝えたくなった瞬間)

end.
遅ばせながらやっと出来ました!
学園元親甘…甘?これ切甘じゃないかあぁ…orz
すまぬ泪たん…こんなのでよかったら貰って下さい。私の中で元親はバスケ部で、この後二人はゴールインしてます(ボソッ←
最後にハピバ泪たん!

20120524

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