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―――ポツ、ポツ…
「あれ…」
雨だ―――
本も手に入れたし帰ろうとしたその時だった。
何秒も経たずして、バケツを引っ繰り返したような雨が降ってくる。
「どうしよう、傘持ってきてないよ…」
(濡れて帰るしかないのかなぁ…)
思ってはっとする。
折角買った本が、本を濡らしてしまう。
それは凄く嫌だった。
どうしよう
『待ってるぜ、泪』
優柔不断だ、…自分
「……」
踏み出せないんじゃない
踏み出すのが怖いんだ
でも
(踏み出さなきゃ)
パシャッ…
(―――…まさか本当に傘使う羽目になるとはな)
部活もなく久々のオフ。
少し先のコンビニに向かっていたが、生憎丁度大降りに当たってしまった。
(…おっ、)
刹那後ろから走ってきた奴に追い越される。
だんだん遠のいていく姿をぼーっと見送りながら
(傘忘れたのか、お気の毒にな…)
考えて
「…………………あぁ?」
あいつは
「泪?」
直ぐ様弾かれるように走り出す。
「泪!!」
「―――……元親、先輩…?」
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