日も傾き始め辺りは淡く光り出す。
船首で私は呆然と立ち尽くしていた。




「どうした?」




顔を上げれば海の色…
青い瞳と目が合って。





「いえ…只、」




海は…良いものですね


とても綺麗で―――。



そう言えば彼が目を細め笑って。

目を逸らす口実だった
彼は気づいていないだろう



でもそれで…いいのだ







「お前…海が好きか?」




う…み…




「はい…好きにございます」




海。
大きくてでも温かい…
まるで元親様のような海。



そう…彼が見せてくれた海に私は惹かれたのだ。






「俺もだ」




何故だろう、心が満たされて





「お前と見れて嬉しかったぜ」






同時に切なくなって






「亜希―――」





顔を上げた












刹那



―――ドオォォォォォォォン!!!



「アニキイィィィィィィィィ!!!」

「どうした」




敵襲ー!!敵襲ー!!と飛び交う声。
海面は炎の色をして波打ち
戦場は大きく揺れる。




「元親様…!」





私は





「お前は中に入ってろ!」






私は






「でも…!!「お前に何が出来る!?」





はっと目を見開いた。
当たりを駆け回る部下達。
忙しなく変わる光景。
皆各々役割を持っている。





だが船の上では私は…何も出来ないのだ




役に立ちたくても邪魔なだけなのだ―――。





彼がハッとして私を見た。
だが直ぐ背を向けて
大人しくしてろ、その一言だけ残すと去っていった。

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