――ギ




…え?




突然の圧。
温かい、これは




「あぁ…っ」




私の手、大きな手が包み返してくれていて




「とろろ」



「元…親…様…」




伸ばした手はちゃんと届いていて、彼の頬に。




え、どうして



どうして





今の私の瞳には元親様のお顔が映っていて。
触れそうな唇が目の前にあって。
熱の籠った瞳に射抜かれていて。
そうして初めて、此処は部屋の中、彼が私の上に覆い被さっていると分かった。




「何故、泣いてた?」



涙を拭う指先は



「怖ェ夢でも見てたのか」



紛れもない彼のもので




「元親、様…っっ!!」




答える前にせり上がってきた涙がこの言葉しか言わせなかった。
夢だった。
今この時が本物だった。それだけで。

折角払って下さったのに、また。
涙が溢れてしまう――。



その様子にはっとして、目を瞬かせる彼。直ぐ申し訳なさそうに目を細め苦笑して。






「そうか…すまなかった、とろろ」



短く言葉を切り更に体を寄せる。彼の体温が私を包み込んでくれる。




「今帰った。俺は此処に居る。だからもう泣くな。
女の涙には、弱ェんだ」



惚れた女の涙なら尚更よ、そう言って私の髪を梳いてくれる。
私が彼の夢を見ていた事、そしてそれが辛いものだったんだと彼は気付いてくれた。





「元親様…!!」

「あぁ」

「元親様なのですね…?」




ずっと





「ずっと待っておりました」




とろろはずっと




「貴方様を」

「あぁ、分かってる」




刹那、手首を掴む力が強くなって




「俺もお前にずっと会いたかった」




そう、告げて






「愛してる、とろろ」



唇を重ねた。



愛し君
(今度こそ)
(お前と一緒に)

end.

とろろ様、遅くなり本当に申し訳ありませんでした。私生活が忙しく、執筆するのもままならない状態で…このようなものでよければどうぞ貰って下さい><
リク有難うございました!
20110807

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