2
「―――…零〜!」
「わっ!何!?」
放課後。
両肩を叩かれ振り返る。
「なんかここ最近ずっと悩ましげな顔だよね。今も肘なんか付いて、」
「…」
「もしかして…好きな人できたの!?」
「はぁっ!?」思わず声を荒らげた。
「ん、図星?」
目をキラキラさせる友人に「そんな訳ないでしょう!」と反論して。
「ボーッと外見てたじゃない」
「見てたけど…」
確かに見てたけど…思い出していただけ
あの日を―――
『―――…おぃ、乗りな』突然横に付いたバイク。
降りてきたのはヘルメットを被った長身の男。
身に覚えがないのにずかずかと近づいてきて。
『は?アンタ誰よ』と言うやいなや引っ張られバイクに乗せられた。
『いいから乗れ、遅刻すんぜ』と言われヘルメットを被せられ、絆創膏と、いつの間にか取れていた名札まで渡されて。
『げっ、俺が間に合わねぇ!じゃあな!』学校に着き、混乱だらけの私を置いていってしまった。
あの人。全てが強引だった。
なのにどこか許せた。
顔も名前も知らないあの人が誰なのか、なぜ助けられたのか。
男なんて、
『なぁ、ねーちゃん。これから俺達と一緒に遊ばない?』ろくでもない馬鹿と
『零さん、カツアゲされたんです。助けてください!お願いです!!』弱っちい奴
それしか知らないのに。
「―――…じゃあ何考えてたのさー、教えてよ!」
「やだ」
「はー!?零酷いー!!」
「どうせ私は酷い人よ」
そう、酷い人
[ 11/14 ][*prev] [next#]
[戻]