『…ぃ』






何だろう、聞き覚えがある






『…おぃ、』






ねぇ、あなたの






名前を教えて―――。










「―――…おい!」



パァン!、と弾ける音と痛みで意識が戻って。
最悪だ、平手打ちされていた。
両腕も押さえられ、立ち膝のまま身動きできない。




(どれくらい気を失ってたのかしら…)




蹶られたところまでしか記憶にない。
だが、




「温和な解決法が見つかったぜ、お嬢さんよ」




しゃがみこんだ男の手がブレザーに掛かり、一つずつボタンを外していく。






「身体でどうだ?」

「っ!!」





ぞっとした。





「ふ、ざけないで…!止めて!!いやぁ!!」

「そんなん言ったって誰も助けにこねぇよ!アンタに味方はいねぇんだからなぁ!」






最後のボタンに手が伸びた時、









「―――おぃ!!」








声が聞こえた。





顔を向けると廃墟の入口に人がいて。
長身の男。その背に光を受けて。




「あ?何だテメー」

「…?」








近付いてくるがぼんやりとしてみえない。







でも、感じた。







「此処で何してやがる」







この声







「此処はよぉ、俺のシマだ」







私は







「よそモンは失せな」






この人を知ってると。







「ナマ言ってんじゃねぇ、…よ!」




仲間の一人が殴りかかったが、手の平で受け止めて。
逆に男が殴り倒される。
気絶した男に目もくれず、近付いてくる。
―――パキパキ、指の骨を鳴らしながら。

男達の輪がどよめき近づくその人に道が開く。
足を止めた。






「あなたは…」




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