「あ?はは、テメーの知り合いかよ。
ったら、どうってことないな!
…っち、何道開けてんだよ。とっとと片付けろ!」



ハッとした男達が再び勝ち誇ったような顔をする。
この男に言われ安心したんだろう。
束になりその人にかかった。
…が、



「ごふぁ!」



あっという間に倒していく。
しかも傷一つなく。




「…な、」




―――ドガアァァァン!!




「何なんだよ」




―――ガラガラ…




「―――何なんだよテメーはぁッ!!?」




最後の一人がコンテナに吹っ飛ばされ、コンテナと共に崩れ落ちた。
残りは私を捕らえる2人と、リーダーのみ。






「…おぃ」



横を向いていたその人が向き直る。



「もっかい言うぜ」




此処は俺のシマだ




「ふざけんじゃ―――」






何が起きたか分からなかった。
視界から男の姿は消えていた。
左手をポケットに突っ込んだまま低姿勢で。見えた横顔。

コンテナがまたバタバラに散る。
とても長く感じた。





「女相手にここまでやるたァ、下衆な野郎だぜ」



スッと目が細くなる。



「―――失せな」

「ひ、ひいいぃぃ!!」




残る二人もぱっと私の腕を離して。
転びながらも逃げていった。






「…」

「…」





残るのは私とこの人だけ。
私を見下ろしてくる。






「…おぃ」

「!…」

「あんた」






俺が怖くねぇのか






「…、」






怖くないと言えば嘘になる
でも






「怖くないわ」






だって






「あなたは」






コイツらに怒ってたんでしょう?





だったら怖くない
―――言えば目を丸くしていたその人が大口開けて笑って。
唖然とする私。急に恥ずかしくなって。
「な、何で笑うの!」と言えば止まって。くい、と口角を上げる。





「立てるか」

「え、…えぇ」






差し出された手。
なぜ抵抗もなく握ったのか






「―――よし」






分からない






「どうして、助けてくれたの?」






二度目。
でも何となく、分かっていた。





それはきっと、



出会った瞬間に負け
(あー、それはよ、あれだ。あんた有名だからな、楠木零だろ)
(…は?何で、)
(困ってる奴を助ける怪力女ってよ)
(…!!何よそれ!)
(でもそういうの、嫌いじゃないぜ)
(っ!!…あなたこそ早く名前教えなさいよ!)

あなたに貰う初春の気持ち

20130105

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