海沿いを歩いていくと、人影が見えた。





(賊か)





月明かりだけだったが十分目が慣れていたから
直ぐ分かった





≪ガキが…もう我慢の限界だ≫

≪女だからっていい気になるなよ≫





まだ遠いが粗方理解した





(子供…女か)





こちらに気付かない等、余程怒りで我を忘れたか





そんな事を思いながら近付く





「もうジタバタ出来ねぇようにしてやらぁ!!」





ザバザバッ
―――砂の音。
藻掻いておるか





どちらにせよ









「―――貴様、
此処で何をしている」






終わりよ






「な、何だテメェ!」

「此の安芸で我の許可なく何をしている。
…と聞いておる」






下衆共が







「毛利元就…!?
こんな時間に何で此処にい――」







耳障りで
気付けば斬っていた







「…此処は我の地。何時何処で何をしようと、貴様等賊には関係のなき事よ」







後は






「―――っ…!」






この女






「―――女、」





大きく体を揺らした
我を見る、それは





恐怖か





いや






(億さぬ…だと…?)






拘束されていたから表情が読めなかったが







「―――貴様、何処から来た?」







大きな藍色の瞳





何の邪気もない、綺麗な目に見つめられて








「…」









胸がちくり、傷んだ





―――ブ

その痛みを消したくて
我は。

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