毛利家は一変した。
幸松丸が亡くなり、家督は元就となる事が決定していたが、これをよく思わない者が画策していた。
異母弟である元綱の家臣達である。
元綱らは元就を暗殺しようと企てた。
だが、策の内だった。
元就は元綱を討ち首にし、兵に見せしめた。

我に逆らう者には容赦せん、と



我が新しき当主、毛利元就




―――我に従え、と。





「…宍戸」

「如何しました?元就様」




バタバタと書類を抱え走っていた好青年が足を止める。
宍戸隆家。
元就の重臣。




「何やら外が騒がしい。
我は浜辺に出てくる」

「斯様な事、私が兵に命じましょう!」

「貴様が命じた兵では役立たずよ」





我自ら駒を連れていく





「は、はぁ」

「…」

「ご、御武運を!」

「…ふん」





元就の黙視に気付き、しまったと
引き吊った笑みを浮かべ見送る隆家。

元就は浜辺に向かった。




―――




というのも、





(風が荒い)





まるで嵐が来る前のように落ち着かなくさせる風だった






肌をざわざわさせる、風






(他国が動くか?)






目の前には穏やかな海、打ち上げられる砂





何の変哲もなかった





ではこれは何の予感だ?




冷静に考えてみたが
これという目星が付かなかった





(無駄足か)





引き返そうとした時





≪ザパンッ!≫




波の音が聞こえた


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