容易かった

この7年、感傷に浸る暇も無く
安芸の為にだけ生きてきたのも同然だったから





「う、うわあぁぁぁぁ!!」




ッ…




「はぁっ…はぁ…!!」




ドッ、と木に背中を貼り付け震え上がる男。
行き止まり。
静かな、鋭い足音が




止まった。





「か、家族が村で待っているのです…
殺さないで下さい!!
お許しをッ!!」





―――ザ!!




「え…」




一瞬だった。
泣きながら平伏し謝る男を待っていたのは
赤い残滓。
同時にそれは得物を持っていた方の服に、顔に飛び散る。
月明かりに光る丸い刀、輪刀を持っていた方に。
地に崩れ動かなくなった男を見下ろしながら、
切れ長の目が告げた。






「我が隊列を乱す者に、」






家族等、無い





[ 40/55 ]

[*prev] [next#]

[戻]


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -