「……」


半刻が経っていた。



「………」




(やけに静かよ…、)



そう思って、振り向くと




「………!」

「ひっく…」



泣いていた。



(目障りな…ッ、)



「何で食べないのさ…っ、」

「毒の可能性もあろう」

「毒…!?」



拳を震わせて。



「毒な訳…あるかあぁぁぁぁ!!!」




刹那掴んだ団子を元就の口に押し込もうとする。



ぱく、

―――が、目を丸くして。
突っ込む直前、手首を返され持っていた団子は自分の口に入ったのだ。




「…大人しく一人で食べておれ」




手を離し、何事もなかったかのようにしたため始める元就。
静かになった、思った瞬間。




「も…と…」

「…?」

「元就が食べさせてくれたーっ!!」




頬を赤くして立ち上がり、「顔近いよ顔近いおれ…うわぁぁぁ!!」等と喚き散らす。




(何故そうなる…っ…、)



調子が狂いっぱなしだった。



「元就食べないならいいよ!食べさせ―――ピシャ!




縁側に団子ごと閉め出される。



「なんだよ…毒なんてないよ…元就が団子好きって聞いたから一生懸命作ったのに…
何だよ元就の頑固!!いいよ此処で食べる!!」

「…頼んでおらぬし好きにいたせ」




(喧しい…っ…

奴の所為で何も進まぬわ―――…)





―――





―――コッ、



(終わった…)



硯に筆を置く。
閉じきった襖から届くのは橙の色。



(夕刻か、)



立ち上がると襖を開けた。
心地好い日輪に一瞬目を閉じて。下を見ると、



「……」



まだ居た。
しかも寝ていて。



「…貴様起き―――、」

「…」

「…」




(この女…っっ、)



「切り捨てる」

「…んん、」

「……」




(拉致が…あかぬ…)



「時間の無駄か…」



自然と漏れた溜め息。
部屋に戻ろうとした時、




「元就…」



団子ぉ…、と言い寝返りを打つ。




「………」




此奴




「誠の馬鹿か」




呆れてものも言えぬ―――…

ふと、盆の上を見た。
一個だけ団子が残っていて。じっと見た。



―――スッ、バン。

机の前に座ると口に運んで。





「…ふん」




あ奴らしい




甘い餡
(悔しくも我の)
(好く味よ)

end.

本編は元親→夢主、番外は由叉→元就が楽しくてしょうがないです。でもギャグとかだだ甘書けませぬ←
妹には元就も頭が上がらなかったらいいです。
隆家君が後から元就に踏まれてたらいいです(笑)
番外は甘い…

20120506
20120909改

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