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その後、子の刻辺り。
私は元親の部屋の前に来ていた。というのも、
「水、置いといた方がいいわよ…ね」
あれだけ酔って、潰れてしまったのだから。
これじゃあ二日酔い…なんて甘いものじゃ済まないだろう。酔いが覚めてない元親は正直危ない。色々と。
たかが水一杯でどうにかなる気はしないが、何もないよりは。
そう思って静かに襖を開ける。
想像通り寝床には彼の姿。
(ちょ…元親、毛布目茶苦茶じゃない)
ばさっ、と彼に掛けた。月明かりではっきり見えないが顔の赤みが少し引いた気がする。
(…って、私こんな真夜中に何やってるのかしらね…)
ただ水を置きに来ただけだというのに。
(…いけない、出よう)
水を傍の膳の上に置いたのを確認すると、そそくさと部屋を後にする。そして開けた時と同じように静かに閉めた。すると突然力が抜けて。ぺたりと座り込んでしまった。
『悪いがこいつはそんじょそこらの女とは別格でね』
あんたにゃ渡せねぇ
「もう…」
仕方ないような笑みが零れた。
思い出すだけで胸が、体が熱くなる。
「貴方は本当に…、」
俯いていた顔を上げ空を、満点の星空を見上げる。
澄んだ夜空に幾つもの瞬く星。あまりに素敵で、私には眩し過ぎて。目を細め小さく笑った。
(それでも)
手を伸ばして
(届くところに)
(貴方の傍に)
(ずっと居たいと言ってもいい?―――…)
end.
私的にかなり甘くなりました(笑)書きながらニヤニヤが止まらなくて困ったという←
こういうアニキがやっぱ一番好き…!
20110321
20120908改
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