「…君か、いけない子だね。
僕の部屋に無断で近づくなんて」



乱暴に口元を拭った後。
沙羅は眉を顰めた。




「何だい、まだ解放しろというのならお断わ――「病気なの…?「!!!」



半兵衛が目を見開く。
だがすぐに表情は険しくなる。





「…見たのかい」




そこにはいつも浮かべる微笑はなかった。



…ドクンッ、

―――静かな部屋。自分の鼓動だけがやけに大きく聞こえた。




「…ご、ごめんなさい。でも「でも、何?」




冷たい声。




「心配になった…の、」




黙ってられなかった。





「……」

「誰にも言うつもりはないから…。勝手に、ごめんなさい」



そう言って踵を返した沙羅に、影が覆い被さって。



「!?―――……」



ド




突然の背中の痛みと腕を握る力。
私は壁に押さえ付けられた。

[ 2/55 ]

[*prev] [next#]

[戻]


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -