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「…君か、いけない子だね。
僕の部屋に無断で近づくなんて」
乱暴に口元を拭った後。
沙羅は眉を顰めた。
「何だい、まだ解放しろというのならお断わ――「病気なの…?「!!!」
半兵衛が目を見開く。
だがすぐに表情は険しくなる。
「…見たのかい」
そこにはいつも浮かべる微笑はなかった。
…ドクンッ、
―――静かな部屋。自分の鼓動だけがやけに大きく聞こえた。
「…ご、ごめんなさい。でも「でも、何?」
冷たい声。
「心配になった…の、」
黙ってられなかった。
「……」
「誰にも言うつもりはないから…。勝手に、ごめんなさい」
そう言って踵を返した沙羅に、影が覆い被さって。
「!?―――……」
ドンッ!
突然の背中の痛みと腕を握る力。
私は壁に押さえ付けられた。
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