昼には伺えない風情を夜の支配者である月が顕にする宵闇
今宵の月は一層綺麗だった

昨日の奥州も平和な時が流れた
米俵を担いで城下へと足を弾ませる男達
自分で刈った稲を持って土だらけになりながらはしゃぐ子供
女達の色恋話
皆、幸せそうに笑顔をその顔に浮かべていて

それもこれも、このところ戦が滅法少ないお陰

そりゃあ戦がねぇのは、いいことだ



だが、面白くねぇ



真田幸村と一戦戦り合う事すら遠いこの時分

溜りに溜まった執務の山に
今まで目を瞑ってやがった小十郎がとうとうその口を開いたのは2日前
執務部屋で、鬼のような形相をした小十郎から逃げていた俺は、しつこい執念からとうとう捕まった
そして書類の山から少しずつ書状を引っ張り出し、睨み付ける
…そんな日々が続いていた


そんなhardな日常にも光はある

そう、今この襖を開けると………




さぁて…今宵もお邪魔させてもらうとするか




政宗は不敵な笑みを浮かべて襖に手を掛けると、静かにその手に力を入れた

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