愛しい言葉
ガキンッッ!!!
交わり合い互いの武器が離れる。宙で一回転し体制を立て直すと、着地する沙羅。
「――…何か隠してるだろ?」
「何も…はッ!!」
――ガン!!
再び互いの武器が交差して、噛み合う。元親は眉を寄せた。碇槍が押されていたのだ。女の刀二本に。
(コイツは―――…)
「悪いけど私は、」
本気よ
――途端感じる圧が強くなる。女の力とは思えない、重い力に元親は目を細めて。
(この俺が押されているだと…)
そして見れば彼女を取り巻く風に気付く。風圧が彼女の斬撃を強めていたのだと。
「――成る程な、こんな事も出来ンのか。
…はっは!あんたやっぱ最高だ!
流石俺の女よ!!」
刹那沙羅が目を見開く。一気に押し返された。
「あぁッ!」
刀は回転し地面に突き刺さる。沙羅は地面に座り込み、元親を睨み付けて。その視線に動じる事無く元親は言った。
「あんたの力…そんな使い方もあるとはな」
おもしれぇじゃねぇか
――元親は沙羅の手を掴み、立ち上がらせた。白く細長い指、手の温もりに愛しさを感じながら。
「俺とお前の仲だろ?今更隠し立てすんじゃねぇよ」
俺はお前の抱えてる事全て受け止めてやる。妹が見つかるまでの心の拠りどころとして、お前の心に在り続けていたい。
「………」
言いたい、何もかも
でも
私の一言がもたらす結果が怖くて
こんな私を想ってくれる
貴方だからこそ
「――…言えないの…
ごめんなさい…」
なんて馬鹿なんだろう
そう思った時には手は、元親から離れていて
私はその場から駆け出していた。
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