二人の彼

キリキリ…

―――刀が擦れ合う。






「貴様、生きておったか」

「あぁ、生憎…な!」



力で押し返し、私を一瞥する彼。



「大丈夫か?」

「えぇ…え?」




突然しゃがみこみ目線を合わせられる。
手が伸びてきて。
怒られる、思って目を瞑った。






―――ギュッ、

頭に伸びた手。
優しく胸に閉じ込められて。







「馬鹿野郎」






ンな傷だらけでこんなところまできやがって






「何の為に風来坊に頼んだと思ってやがる」






「……―――」






彼の気持ち、知ってたから






何も言い返せなかった






「―――無事でよかった」

「!!…」






涙が、溢れて






―――静かに閉じた







「貴方こそ」





顔を埋める。
温かい
つい、昨日の事なのに遠い昔のようで

スッ…と離れる体。
元就に向き直った。




「やはりあの女は使えなかったか」

「…毛利、あんた」




―――グッ、




「てめぇがした事、分かってんのか」





碇槍を握り締める。





「元親…?」

「さっき、お前のお袋―――神流に会った」



目を見開く沙羅。
生き返った事。
冥鏡水の事。
毛利が六条を使ってやろうとしている事。
伝えれば目線を落とし、瞼を震わせて。



「お前が2つ子で、どちらか一人しか満足に生きられねぇのも聞いた」

「…」

「だから、」



ッ、



「あんたが沙羅を殺し由叉を生かそうとしているのもな」





その為にこの戦を起こしたのも
―――目を細め言った元親を見据える元就。




「あと、聞いたぜ。
沙羅と由叉の二人共生きられる方法をな―――…」

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