「聞いて毛利」




貴方は




「貴方は由叉を守ろうとしてる」




そうでしょう?




「この戦もその為に起こした。
あの子を…生かす為に」




『そなたが死なねば死んでしまうのだ…っ』




由叉は毛利軍に愛されていた。





『俺、このまま毛利軍に居たいんだ』





そして





『好きだから』





由叉も愛していた、毛利軍を。





『でもね』





ッ…





『長曾我部軍とは、戦いたくないんだ』





だって




『姉さんの大好きな場所だから―――』








―――思い出す豊臣の時話した事を。
私達は、




「望んでない」




こんな事




「戦をして傷付け合ってどちらかが生き残る。
―――選べるものなら最初からそうしていたでしょう?」




でも




「それが最善じゃないと分かっていたから、今まで動かなかった」



貴方はいつも最善の策を練ってきた。ずっと。

どこか分かる。
探しては迷って。
でも自分一人で考えて。
苦しくてもう、これでいいんだと貫き通そうとして。
思うの、貴方は私と…似ていると。




「聞いて毛利」




道はゼロじゃない




「由叉を助けられるかもしれないの」




―――輪刀が揺らいだ気がした。




「此処に今、薬がある」




私の刻印を消し、発作も和らげてくれた




「貴方が欲しかった…凛の調合した薬よ」

「………」

「今はまだ完全じゃない、…でも!」




振り向いていた




「貴方が持つ六条の秘密、合わせれば完成だって…きっと!」




だからもう




「止めましょう、毛利…」





戦じゃ何も得られないと、分かって
―――そう願って薬を差し出した。

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