秒読み

「此処で何をしていた」



冷たい声。



「何もしてないわ」




強いて言うなら
―――視線を横にずらして。




「この有様に…呆然としていただけよ」

「…」




そう言うしかなかった。
空気が張り詰める。




「―――刀を捨てよ」

「!!…」




唐突に発せられた言葉。
ドクンドクン…、と鼓動は早くなって。




「っ………」




汗が頬を伝う。
唇を噛み、息を飲んだ。




ガシャンッ
―――地面に投げ、積み重なる刀。
その音で由叉が目を覚ます事を願いながら。




「…そのまま進め」



言われて元就を一瞥して。
背中にピタリ、当てられた輪刀が「行け」と促す。
進むしかなくて。言われた通り歩き出す。



「元親は何処?」



歩きながら問う。
不安だった。
あの光、紫と緑の光。
二人は確実に戦っていた。
でも今、此処にいるのは毛利だけなのだから。



「―――答えて毛「振り向くでない!!」



ピタ、
―――互いに足が止まった。



「振り向けば、斬り捨てる―――」

「………」



強い声に何故か、苦しくなって。
胸が締め付けられて。





―――何も言えなくなる。

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