交わらぬ定め

「どうしてアンタはそんなやり方しか出来ねぇ」






『―――俺は…守りたい、大切な人を。
役に立ちたい、必要としてくれるから、傍に置いてくれるから。
―――それだけだよ』








「アンタが一番分かってんじゃねぇのか」






『まだいけるって…思ってた
…でも…っ限界、なのかな―――』

『死ぬのが…怖くて…仕方ない…っ』









「自分の命が短ェって知って、」







平気でいられた筈ねぇだろ








「あいつは本気でアンタを、」







好いてるってのに






「テメェはそれすら逆手にとって利用するのかよッ!?」







一度戦っただけだが分かった








あいつは








「心からアンタを好いて、アンタの為に戦ってんだろうがッ!!」






途端甲高い金属音と共に切り結ぶ。






「命削っても」






!!






「突き放されても」






ギッ…







「信じてんだろうがッ!!」





「……」






「なのにどうして」







キリキリ、と互いの得物がかみ合って。







「“人”として見てやらねぇッ!?」






―――キ"イィ!!…

即座、距離を離す。







「…成る程、貴様の言い分は分かった」







すっ、と上がった視線。
鋭く光る瞳。元親が映る。







「所詮は海賊…
知のなき者に我の考えなど理解出来ぬ」

「アンタの考えなんざ到底分からねぇよ。
人を駒としか見ねぇクソ野郎の考えなんざな!!」

「憐れな…」






刹那、瞬間移動の如く風を切って向かってくる元就。





「女に溺れ成すべき事を見失った賊が」

「…言ってなッ!!」





飛び上がりぶつかる刃。
衝撃波が巻き起こった。









―――







「―――…はぁっ、は…」






走って走って。
やっと行き着いた柱に寄り掛かる。






「あ…………っ」







ドクン、と
絞め上げられるような胸の痛み。止まらない汗、震え。
途端力が抜けて、手が滑る。






―――ドッ、







『いくら足掻いたところで、君に出来る事はもうない』







―――ギッ…








「はっ…はっ…」







伝えなきゃいけないの






毛利の真実を、この戦の真実を―――。







『いずれ死ぬ。分かるかね?』







今じゃない…






私は







こんなところで










眠ってなんか










いられない、のに――――――…。

―――穏やかな風が吹く。
靡く髪、頬を撫でる風。閉じた目蓋、長い睫毛が揺れた。



20120429
20120905改

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