鏡合わせ
『…――― 様!奥方様が!』
聞こえる足音。
ドタドタ、と忙しなく続くそれに重なるように
聞こえるのは産声。
バッ、と襖を開ければ汗を浮かべて床に伏す女性に見上げられる。
『――― 様…』
『ようやった…』
女性の手を包む、男性。
それは強く、優しく。
『!お主、』
『えぇ…』
泣き声は一つだけだったから気付かなかった。
傍に控える乳母を見れば赤子を両の腕に一人ずつ抱き抱えていて。
片方は泣き、片方は安心したように眠っていた。
『貴方様のお子にございますよ…』
様―――…。
―――
「!!」
はっとして目を開けた。
全身冷や汗をかいていて。
地面に両手をつき体を起こすが、ぺたりと座り込んでしまった。
「どういう事…なの…」
私は
「私と由叉は」
『貴方様のお子にございますよ…』
二つ子―――。
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