不合

『始まった…』






あの光








二人は刃を交えてしまった










―――戦いは避けられなかった









「……っ、」








でもまだ間に合う









一刻も早く着かなければ








「間に合って……っ」










―――









ザザーーー!!

―――互いに地を擦る足。
本殿の二人の戦いは熾烈を極めていた。毛利、と元親が声を張る。







「アンタに聞かなきゃならねぇ事がある」

「……」

「アンタの言う、薬ってやつが本当なら」






『俺はもう…違うから…っっ』






「どうして由叉に使わねぇ」







目を閉じる元就。








「―――愚問よ」

「……」






眉を寄せる元親を、感情が見えない瞳が映す。






「何故稀少な手札に手を付ける?
捨て駒等の為に」

「何だと…」

「あ奴に何を言われたかは知らぬが」






カツ――――…





「使えぬ駒に価値なし」






故に捨てた






「あ奴はもう不要よ」





―――ダ!!




「毛利いぃぃぃいッ!!!」




即座動いていた。
強い金属音と共に火花が煌めく。






「あいつがどんな気持ちで此処まで来たのか知って言ってんのかッ!?」







『毛利の懐刀の名にかけて
あの人を―――守る』








「テメェの為に命張って来たんだろうがッ!!」

「―――百も承知よ」

「!」







キィンッ!!、と弾かれ退いて。





「テメェは…ッ!!」

「我が言わずともあ奴は来る…とうに計算の上」






我の為なら必ず命を懸けるのがあの女







「思惑通り、貴様と相対し敗れた」





あれでも最後は駒程度にはなったか

―――言う彼に元親が歯を食いしばる。






「あれしきの女にやられる等、貴様の器も知れた事よ。
我に敵う筈もなし」







ザァ…、と一陣の風が吹いて
噛み締めていた力が抜ける。

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