生きる、居場所

言い返せなかった




ッ…





離れていくあの人に






ッ…





俺は、能力で蝕まれる体の所為で
任された働きを…果たせなかった。
戦いたいのに体がついていけなかったから。






―――必要じゃなくなった。






『期待しておる、我が“懐刀”よ』





嫌だ






『う…ひっく……』






―――ギ―――







『…泣くでないわ』






懐刀が斯様な体たらくでは





執務に戻れぬ―――。







手を、重ねてくれた






今…思い出して







『由叉』






俺は






―――ポッ…








捨てられるの…っ?――――――。









「…―――俺は、戦いたかった」





必要とされずに





役にも立てないのは






「守りたかった…」







“いない”のと







同じ





「“毛利の懐刀”が、俺の…居場所だった…」






姉さんは“鬼の風刃”で
元親が傍にいて




でも俺は





「もう…、違うから…っ」






元就が傍にいなくて






“毛利の懐刀”じゃなくて―――…。




刹那ふっと笑う由叉。




「でも
……戻れたのかな…」





俺でも






「この戦で…」









最後
元就の“懐刀”に―――…。









―――…分かってた





『そなた』





いくら近くても





『…』

『何処を触っておる』




―――ふっ…





『元就の髪…』





綺麗だなぁ…って。





―――肩に寄り添っても










遠い





「…」





駒にすら、ならない






不必要な只の女なら






ギッ…




「戦わなきゃ…
役に立たなきゃ意味ないんだっ!!」


[ 181/214 ]

[*prev] [next#]

[戻]




×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -