理由

―――グッ、





(え―――…)






抵抗も何も出来ないまま
気付けばそこから離れていて。

タンッ…と着地すると、俺を柱に寄りかからせてた。





「危なかったぜ…」





ガレキを見つめて立ち上がったその人に
言わずにはいられなかった





「何で…」

「あぁ?」






何で






「助けたの…」








『致し方なき事よ』









「俺は敵だろ…」









『あ奴は戦えぬ』










「元就を守る為なら俺はどうなっても構わない…」





ギッ、





「俺を―――
“毛利の懐刀”でいさせてよ!!」





見つめていた元親が黙って目を閉じた。





「やっぱ、」






『どうして私を助けたの?』







「姉妹だな」

「え…」





似てやがる

―――小さく笑みが溢れていた。





「―――毛利と何があったかは知らねぇが…」




言っただろ




「もう一度言う、俺はお前と戦う理由はねぇ」





死なす理由もねぇ






「俺は…!!「生き急ぐな」






由叉






「奴を好いてんだろう?」



「……」


「だったら生きろ」





元親が振り返って。






「命を」







粗末にするんじゃねぇ






「……―――」






俺は








「俺は…」







まだ守れる








守りたいよ―――ドッ、


「!!!」







突然、胸元を握り締めて
ズルッ…と柱を崩れる体。
元親が目を見開く。
見覚えのある光景。

倒れた体から吐き出されるのは






苦しげな咳と鮮血。






元親がしゃがみこんで。眉を寄せた






「お前も……」






『―――元親』







「同じなのか、」







由叉――― 



20120303
20120904改

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