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『風来坊』
『何だい、西海の鬼』
『あいつが追いかけてこようって時は、あんたが止めてくれ』
それが力押しになってもだ―――。
風の便りで小耳には挟んでいた。彼女の能力。
豊臣の世は終わり、日ノ本は穏やかな日々が続いていた。
それに彼女が関係していると聞いた時には正直驚いた。
元親の下を訪れれば寝込んでいた彼女
命が危ないと聞いて。
「はは…」
『ごめんなさい』
「やっぱ俺には向いてないって、元親」
泣きそうな顔して戦う彼女を放っておけなかった
「女は男に守られてりゃいいってのになぁ、」
『私も守りたいから』
あんな幸せそうな顔した子を止めるなんて
俺には出来なかったよ
―――ふと空が明るくなっていく。
雲が晴れ、現れた陽光。澄んだ青空を照らして。
大の字で寝転がったまま慶次は頬を緩めた。
「――恋って凄いねぇ」
元親も沙羅ちゃんも――――――。
「沙羅ちゃんは…あんたが守ってやらなきゃいけねぇよ」
―――元親。
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