予期せぬ再会

「久しぶりだねぇ、沙羅ちゃん」





人懐っこい笑みを浮かべ彼は近づいてくる。
初めて会ったあの時と同じように―――。

豊臣との戦が始まる前、慶次は元親の下を訪れた。
そして風の噂で聞いていた沙羅と知り合う。
彼女が連れ去れたのはその後、暫く経ってからだった。





「聞いたよ。あんたが半兵衛を…」

「………」




その瞳が何処か遠くを見ていて。
思い出した。
彼はかつて豊臣秀吉と竹中半兵衛の友人だったと。




「はは、本当は俺があいつらを止めてりゃ良かったのにな」





俺には止められなかった





「……―――」







言う彼に






黙っているしか出来なくて






「ありがとうな、沙羅ちゃん」







あいつらを止めてくれて。
ニッと笑っていう慶次を見ている自分も苦しくなる。
静かに首を横に振り、見上げた。







「私も…止められなかった」






戦という形でしか決められなかった




生きていれば―――和解出来たかもしれないのに





私も慶次も戦での解決は望んでいなかったのだから






「戦は嫌い…命を奪うものだから、」







泰平の為の戦




でもその為に犠牲があるのなら




悲しむ人がいるのなら







早く…こんな世、終わらせたい








戦わない道を




命の取り合い等ない道を







私は…選びたい






―――ザッ…
慶次の横を擦れ違おうと足を踏み出した時だった。
彼が手を広げ行く手を塞ぐ。





「どうして…」

「あんたは…此処に居てくれ」





元親の命だ。
言われて目を見開いて。顔が歪んで俯いた。





「それでも、」







私は






「行かなきゃならない…っ、」




後戻りしないと




だから――――――…。








「…そうか」






慶次の手が引いて。
行かせてくれる、そう思った時
強い風が巻き起こって。
思わず両手で顔を覆った。

収まった時には門の傍まで飛ばされていて。





「慶次…」

「女の子に手荒な真似したくねぇんだ、でも」





す…、と長刀を抜いて構える彼。





「どうしても行くってんなら俺は、あんたを止めなきゃならねぇ」

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