望む運命

様々な事があった



襲われた村。
嵐の夜。
由叉との再会。
豊臣との戦。
半兵衛の死。
松永の言葉。




何度も揺れ惑い見失い






「大切なものの為ならこの命、消えても構わないと
そう思った」






自分の死より誰かを失う事の方が怖かった







「―――でも、生きる大切さを貴方は気付かせてくれた」






幸せという“未来”を





貴方は教えてくれた






「だから…」





ふと目を伏せて






「今は…怖い」






生きる幸せも





傍に居る時間も知ってしまった今では







「死ぬのが…怖くて…仕方ない…」





胸に手を当てると
刻々と近付いてくる感覚に震えて






夜が来るのが
朝日を見るのが苦しくて






肌を掠める夜風に怯えて―――







こうして時が過ぎていくのが怖くて堪らない






「…昔が、平気だった訳じゃない」






でも今は、あの頃以上に死を恐れている






「生きたい理由が出来たから…」






やっと見つけた答えだから





「私は…!!」





声を張り上げた刹那、強く腕を引かれて。
海へと引き込まれた。

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